福岡で建て替えるなら要チェックの浄化槽【耐用年数や設置費用まで解説】

福岡で建て替えるなら要チェックの浄化槽【耐用年数や設置費用まで解説】

福岡で建て替えをおこなう際に気を付けなければならないことのひとつが「浄化槽」です。もし建て替えをする敷地に下水管が引けない、もしくは下水道処理の区域外であった場合、浄化槽を設置する義務が生じるため、購入や工事などの新たな費用が発生することがあります。

本記事では、建て替えをする敷地に下水道が通っていなければ浄化槽が必要になるため、仕組みや耐用年数や設置費用をわかりやすく解説します。

 

 

 

浄化槽とは

福岡で建て替えるなら要チェックの浄化槽【耐用年数や設置費用まで解説】

浄化槽とは、自宅で発生した生活排水を装置内でろ過し、綺麗な水にして川などに流すための装置で、自宅の庭や駐車場に埋められています。汚水の浄化設備が整っている下水道がある区域では設置の必要はありませんが、下水道のない「下水道処理区域外」では設置が必要です。

日本下水道協会の発表によると、令和3年度末時点で福岡県の下水道の普及率は83.7%です。浄化槽が不要な区域は増えていますが、市街地だからといって敷地内に下水管を引き込めるとは限りません。もし確認が漏れていると、いざ建築を進めようとした時に浄化槽の購入や工事などの思わぬ出費に繋がります。

 

浄化槽の耐用年数

浄化槽の耐用年数は、メンテナンスなどの長寿命化対策をとらない場合で30年程度、長寿命化対策を実施して50年程度と言われています。そのため、ご実家などの建て替えの際に「古家の浄化槽をメンテナンスして使えないの?」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。

条件が合えば使えないということはありませんが、浄化槽には家族の人数に合わせた適切なサイズがあることや、現在の法律に適合していない可能性があることや、不具合が出た場合に生活への影響が大きいことから、基本的には新しいものに取り換えるという考え方となります。

 

 

単独処理浄化槽と合併処理浄化槽

福岡で建て替えるなら要チェックの浄化槽【耐用年数や設置費用まで解説】

浄化槽は必ずしも交換しなければならないものではないが、基本的には取り換えるということをお伝えしました。そこには、浄化槽の種類の違いや成り立ち、サイズの問題などが要因としてありますので詳しく解説します。

 

単独処理浄化槽とは

トイレの水だけを家庭で綺麗にする設備で、キッチンや浴室からの汚水はそのまま排水路や川に流します。

 

合併処理浄化槽とは

トイレやキッチンや浴室などの汚水を全て家庭で綺麗にする設備で、浄化した水を排水路や川に流します。

 

浄化槽の成り立ち

単独浄化槽が望ましくないことはご理解いただけると思います。しかし、現代でも浄化槽の65%を単独浄化槽が占めているのです。その理由は、高度経済成長期にトイレの水洗化を目的として単独処理浄化槽が急速に普及し、建物と共に現在も使われ続けていることにあります。

しかし、水環境を守ることを目的として平成13年に浄化槽法が施行され、単独処理浄化槽の新設は原則禁止されました。そして、合併処理浄化槽への置き換えが推進され、県内の8割を超える自治体では助成制度が用意されています。

 

浄化槽の適正サイズ

家庭で使用されている浄化槽は、家の延床面積に応じた適正なサイズが定められています。主に5人槽・7人槽・10人槽の3種類が一般的で、以下のように区分けされています。

●延床面積130㎡を下回る場合は5人槽
●延床面積160㎡を超える場合は7人槽

さらに大きな10人槽は、キッチンと浴室が2カ所以上の二世帯住宅などで使われます。

 

 

合併処理浄化槽の設置費用

福岡で建て替えるなら要チェックの浄化槽【耐用年数や設置費用まで解説】

合併処理浄化槽の設置は、浄化槽と工事で80万円~150万円程度が目安になります。規模や敷地形状や配管の長さなどによって金額は変わります。

 

合併処理浄化槽設置の助成制度

浄化槽を合併処理浄化槽とすることは、地域の水質を保全することにも繋がります。そのため、福岡県内の8割を超える自治体で助成制度が用意されています。一例として、福岡市の助成制度をご紹介します。

 

助成対象

●福岡市域であること
●居住を目的とした住宅であること
●合併処理浄化槽を新設や転換する場合であること

 

助成金額

●設置費用の4割(助成額には限度額あり)

 

助成限度額(5~10人槽のみ抜粋)

●5人槽は332,000円
●7人槽は414,000円
●10人槽は548,000円

このように浄化槽の設置には意外と費用がかかりますが、地域の環境保護のためにも必要な設備であるため、助成金によって負担が抑えられます。助成金の交付には手続きが必要ですので、建築を依頼される建築会社にご相談ください。

 

 

浄化槽の注意点

福岡で建て替えるなら要チェックの浄化槽【耐用年数や設置費用まで解説】

浄化槽の注意点は以下の通りです。

●行政へ届け出が必要
●メンテナンスの義務

それぞれ順番に解説します。

 

行政へ届け出が必要

設置・撤去のそれぞれのタイミングで行政へ届け出が必要になります。浄化槽の設置が必要であることをあらかじめわかっている場合、建築確認申請と合わせて「浄化槽の設置届け」などの手続きをおこないます。もし後から設置する必要が出てきた場合も同様に手続きをおこなえば問題ありません。

届け出に必要な書類や提出先は各市町村で異なります。設置する時だけではなく撤去する時にも届け出が必要ですのでご注意ください。

 

メンテナンスの義務

生活排水を処理する装置のため、衛生面を考慮して定期的なメンテナンスが各市町村によって義務付けられています。※福岡市では年1回のメンテナンスが必要です。

敷地に高低差がある場合、処理した水をポンプで汲み上げて道路脇の側溝などに流します。種類も様々ありますので、浄化槽の業者に依頼するよりも先に建築会社への相談をお勧めします。また、下水処理区域については水道局で調べることが可能です。

 

 

まとめ

福岡で建て替えるなら要チェックの浄化槽【耐用年数や設置費用まで解説】

本記事では、建て替えをする敷地に下水道が通っていなければ浄化槽が必要になるため、仕組みや耐用年数や設置費用をわかりやすく解説しました。

建築予定地が「下水道処理の区域外」なのか、「浄化槽設置が必要な区域内」なのかで、費用の負担や手続きなどを含めると重要な要素となります。

市街地の土地でも下水道設備が整っていなかったり、敷地内に下水管を引き込めなかったりする場合もあります。敷地の高低差によっては、設計士と相談しながら処理水の流れも検討する必要がありますので、建て替えをご検討される際は、現状把握の意味合いも兼ねて、ぜひ一度お気軽にご相談ください。