福岡で建て替えるなら知っておきたい道路【法律を基に様々な状況を解説】
福岡で建て替えをおこなう際に気を付けなければならない重要なことのひとつが「道路」です。建て替えを予定している土地と道路の状況により、家が建てられないことや敷地の一部を道路にする必要があり、敷地面積が狭くなってしまうこともあります。
本記事では、建て替えるには敷地に接道する道路の条件を満たしている必要があるため、法律を基に様々な状況を図解でわかりやすく解説します。
道路とは
じつは、道路は道路法や道路交通法など様々な法律によって定義されているため、「道路とはこういうもの」とまとめて定義するのが非常に難しいものです。
「建築と道路は何の関係があるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。道路が十分に確保できていないと、車や人の通行に支障が出たり、風通しが悪くなったりと、非常に住みづらい環境になってしまいます。
さらに、道路が狭く建物が密集していると、火事や地震が起きた際に消防や救急の侵入経路の確保ができず、命が危険にさらされることがあります。そのような理由もあり、建て替えをはじめとする住宅の建築の際は道路が重要になるのです。
建築基準法と接道義務
道路の問題で最も気を付けたい点は、建築基準法上の道路と道路法上の道路は違うということです。
「実際に土地を見に行ったら道路があって、地目にも公衆用道路と書いてあったから大丈夫」と思っていても、家づくりを進めたら「建築基準法上の道路ではなかった」ということがあります。この場合、接道義務を果たしていないため家を建てることは難しくなります。
建築基準法
建築基準法とは、住人の安全と健康・財産を保護するため、建築物を建てる時に必要な最低限の基準を定めた法律です。都市計画法とも繋がっており、都市計画の基本を定める役割もあります。
接道義務
接道義務とは、建築基準法の第43条1項の規定により、「建物を建てる敷地は幅員4m以上の建築基準法上の道路に、2m以上接していなければならない」という義務のことです。幅員(ふくいん)とは道路の道幅のことを言います。
ただし、どの土地に対しても適応されるわけではなく、この義務が関係するのは整備や保全の必要がある「都市計画区域・準都市計画区域」のみです。
建築基準法の定める道路へ2m以上接している場合、接道義務を満たしていると考えられます。
条件を満たしていれば、図のような旗竿地も建物を建てることができる敷地として認められます。この接道義務を満たすためには、建築基準法が定めた道路に接している必要があります。
建築基準法における道路
建築基準法では、道路を10種類に分けて考えています。その中でも、建築する際に関わる機会が多いのは、「42条1項1号」「42条2項」「43条1項但し書き」です。今回は、この3種類の道路について詳しくご説明します。道路の種類分けに関しては、幅員が大きく関わってきますので、数値の違いにも注目して見ていきましょう。
42条1項1号(1号道路)
42条1項1号道路とは、「道路法によって定められている幅員4m以上の道路」です。1号道路とも呼ばれています。この道路に敷地が接していれば「接道義務は問題なく果たせている」と考えられます。
1号道路には、基本的に道路法の定める道路が該当します。しかし、冒頭でもご説明した通り、建築基準法上の道路と道路法上の道路は異なります。1号道路では幅員が大きく関係しており、「4m未満の道路は42条1項1号道路から除外」されてしまいます。場合によっては42条2項の道路などに当てはまる可能性があるので注意が必要です。
42条2項(2項道路・みなし道路)
42条2項道路とは、「建築基準法が施行された昭和25年時に建築物が立ち並んでいた幅員1.8m以上4m未満の道、かつ特定行政庁が指定した道路」です。2項道路やみなし道路とも呼ばれています。
原則として、道路は幅員4m以上が必要になりますが、建築基準法の施行時に幅員を満たさない道路に接した状態で建つ建物が多くありました。そこで、特定行政庁が指定した1.8m以上4m未満の道は、道路としてみなすという規定が設けられました。
この2項道路に敷地が接していた場合、接道義務に加えて「敷地を後退させる」セットバックをおこなう義務も発生します。「道路が関係する建て替えの例」の項目で細かくご説明いたしますが、将来道路が拡張することを考えて、道路の幅員を4m以上取れるように調整しなければならないということです。
43条1項但し書き(但し書き道路)
43条1項但し書き道路とは、「建築基準法に該当しない道路を特定行政庁が道路としてみなしたもの」です。一般的には「但し書き道路」と呼ばれています。
但し書き道路については、基本的に建て替えの際には自治体に申請をおこない許可を得る必要があります。どのような道が認められるかの条件は、自治体の判断によって大きく異なります。
2項道路との区別が付きづらく個人での判断はかなり難しい道路です。場合によっては個別にセットバックの義務が発生する可能性もあります。元々、建物が建っていた土地に関しても早めにプロへ判断を仰ぐことが大切です。
建て替えできない土地の例
土地と道路の状況によっては、すでにそこにある建物を解体しても建て替えができないものがあります。続いては、そのような建て替えができない土地の例をご紹介します。
それぞれ図を見ながら順番に解説します。
接道が2m未満
旗竿地に多いですが、幅員4m以上ある道路に接していたとしても、接道部分の幅が2mに満たない場合は建て替えをおこなうことができません。
【解決方法】
接道部分に隣接する土地を一部購入するなどして接道を広げることで、建て替えができる可能性もあります。
通路の幅が2m未満
接道部分の道路の幅は2m以上あるとしても、建物に至るまでの通路内の一部に2m未満の部分がある場合は建て替えをおこなうことはできません。
【解決方法】
隣接する土地を一部購入するなどして通路を広げることで、建て替えができる可能性もあります。
隣接する道路の幅員が4m未満
建築するには、幅員が4m以上の道路に土地が2m以上接している必要があるため、幅員が4m未満である場合は建て替えをおこなうことができません。
【解決方法】
隣接する道路が「2項道路」「みなし道路」の場合、セットバックをすることで建て替えができる可能性もあります。
袋地(無道路地)
袋地は、周囲を他の土地に囲まれていて、道路に面していない土地のことで、袋地を囲む土地を囲繞地(いにょうち)と言います。このような接道なしの袋地は、リフォームはできますが、建て替えをおこなうことができません。
【解決方法】
接道義務を満たす囲繞地の購入や、囲繞地の持ち主との調整などにより、建て替えができる可能性があります。
道路が関係する建て替えの例
セットバックをおこなう義務のある「42条2項道路」に注目し、事例と併せてご説明します。42条1項1号道路は、接道義務を果たす「2m以上接しているかどうか」に注意が必要ですが、それさえ満たせば問題はほとんどない状態でもあります。
セットバック
福岡市により指定を受けている42条2項の道路に対しては、セットバックが必要になります。今後、道路の幅員が4mまで拡張されることを考えて、道路の中央などから必要になるメートル数を確保するものです。
この時、セットバックで確保された敷地は「家や外壁などを建てられない」ので注意が必要です。セットバック部分がどれだけ発生するか事前に確認しておくと、間取りなどの打ち合わせをおこないやすくなります。
注意が必要なその他の道路
道路の種類には様々なものがありますが、その中でも、特に注意が必要な道路は以下の通りです。
それぞれ順番に解説します。
協定道路
協定道路とは、2人以上の土地の所有者が、土地のルールを記載した協定書を結ぶことで、土地を道路のように使えるようにしたものです。言葉では分かりにくいと思いますので図をご覧ください。
上の図では、敷地①のみが幅員4m以上の道路に2m以上接しています。敷地②③については本来道路に面していないため、住宅を建築することができません。しかし、土地を分筆する際に以下のように分ければどうでしょう。
こうすることで、敷地②③も協定道路を通して幅員4m以上の道路に2m以上接します。つまり、接道義務を満たすため、住宅の建築をおこなうことができるのです。
注意が必要なのは、正式な道路ではないため、土地の持ち主同士の協定により権利が守られることです。分譲地として新しくつくられた協定道路であれば、建築会社や不動産会社がしっかりと協定書を作成するため、トラブルへのリスクは高くないと言えるでしょう。
しかし、中古住宅などの場合、協定書が正しく保管されておらず、権利が曖昧になってしまうことがあります。隣家との関係性も含めて長期的な視点で注意が必要です。
位置指定道路
位置指定道路は、建築基準法で42条1項5号と記載される私道の一種です。
土地の所有者は、土地を購入した複数人による共有名義の場合や、1人(不動産会社1社など)の場合があります。位置指定道路を設けることにより接道義務を満たすことができ、建築が可能になるというメリットがあります。その反面、メンテナンス費用がかかることや共有名義者との関係性悪化によるトラブルなどが考えられます。
このように、本来は建築が難しい土地であっても建築会社や不動産会社が尽力することによって、住宅の建築が可能になる場合があります。しかし、同時に後々のトラブルのリスクなどを考えながら土地を選ぶ必要があります。
まとめ
本記事では、建て替えるには敷地に接道する道路の条件を満たしている必要があるため、法律を基に様々な状況を図解でわかりやすく解説しました。
「今も家が建っているから大丈夫」「周辺に他の家が建っているから建てられるだろう」という認識では、いざ建て替えをおこなう際に接道義務の落とし穴にはまる可能性があります。
家づくりで失敗しないためには、建てたい土地の状況をきちんと把握することが大切です。福岡工務店では、土地の調査をおこなった上で最適なプランをご提案しておりますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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