【2025年最新】UA値とは?住宅の断熱性能を表す外皮平均熱貫流率の基準・計算方法・メリットを解説
はじめに
2025年4月から、すべての新築住宅に断熱等級4(UA値0.87以下)が義務化されました。そのため、この基準を満たさない住宅は建築許可が下りません。
さらにUA値には、法律上の問題以外にも重要な意味があります。それは「快適性」「年間の光熱費」「健康」「住宅の資産価値」まで、すべてがUA値によって左右されるということです。
本記事では、UA値の基礎知識から最新の法改正情報、実際にUA値を改善する具体的方法まで、住宅のプロが分かりやすく解説します。
目次
UA値の定義
UA値で分かること
具体例で理解するUA値
UA値の単位と読み方
UA値の計算方法と仕組み
UA値に影響する要素
2025年義務化!地域別UA値基準一覧表
地域区分と基準値
福岡県の基準
1. 断熱材の性能向上
2. 断熱材の厚さを増加
3. 高性能窓への交換
4. 熱橋(ヒートブリッジ)対策
5. 気密性能の向上
1. 冷暖房費の大幅削減
2. 一年中快適な室内環境
3. ヒートショック防止
4. 結露・カビの防止
5. 住宅の資産価値向上
比較表
それぞれの重要性
断熱等級の変遷
各等級の特徴
世界基準から見た日本のUA値
標準仕様でUA値0.46を実現
HEAT20-G3認証工務店
実測C値0.08の気密性能
Q1. UA値が0.6と0.4では体感できるほど違いますか?
Q2. UA値だけ良ければ高性能住宅と言えますか?
Q3. 既存住宅のUA値を改善することは可能ですか?
Q4. UA値0.87で十分快適ですか?
推奨UA値基準
UA値が影響する4つの要素
これから家を建てる方への提言
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UA値(外皮平均熱貫流率)とは?
UA値の定義
UA値とは「外皮平均熱貫流率」の略称で、住宅の外壁・屋根・窓・ドアなど外気に触れる部分(外皮)から、1時間あたりにどれだけの熱が逃げるかを示す数値です。
UA値で分かること
●数値が小さい=熱が逃げにくい→高断熱住宅
●数値が大きい=熱が逃げやすい→低断熱住宅
具体例で理解するUA値
例えば、UA値0.25の住宅というのは、外気と室温の差が10度の時『1㎡あたり2.5Wの熱が失われる』ことを表しています。
この数値が小さいほど、冷暖房効率が良く、省エネで快適な住まいになるのです。
UA値の単位と読み方
読み方
UA値は「ユーエーチ」と読みます。
単位:W/(m²・K)
読み方:ワット・パー・ヘイベイ・ケルビン
W:ワット(熱量の単位)
m²:平方メートル(面積の単位)
K:ケルビン(温度差の単位、℃と同じ)
UA値の計算方法と仕組み
基本計算式
UA値 = 家全体の熱損失量 ÷ 外皮面積
UA値に影響する要素
・断熱材の性能(熱伝導率)
断熱材の性能は、主に熱伝導率で比較されます。数値が小さいほど性能が高い断熱材ということになります。
・断熱材の厚さ
断熱材の厚さもUA値に大きく影響します。同じ性能の断熱材であれば、厚みがあるほどUA値は良くなります。
・窓の性能(サッシ・ガラス)
壁の断熱が良くなると、熱は窓やドアなどの開口部から逃げようとします。そのため、窓(サッシやガラス)の性能も重要です。
サッシの断熱性の比較
【断熱性が低い】アルミサッシ→樹脂アルミ複合サッシ→樹脂サッシ→木製サッシ【断熱性が高い】
木製サッシは断熱性に優れているものの、価格の高さや定期的なメンテナンスが必要な事から、あまり一般的には使われていません。
ガラスの断熱性の比較
【断熱性が低い】単板ガラス→ペアガラス→トリプルガラス【断熱性が高い】
基本的にはこのようにガラスの枚数(空気等の層)が増えるほどに断熱性は良くなります。
ただし、ガラスの間に入っているガスの種類や表面加工などの条件によって変動する場合があります。
・気密性能
気密性能とは、住宅の隙間の少なさのことで、C値という数値で表すことができます。UA値そのものには影響しませんが、隙間が少ないということは、外気の影響を減らし断熱性能を最大限に活かすことになります。
・熱橋(ヒートブリッジ)の処理
熱橋(ねっきょう)はヒートブリッジとも呼ばれ、住宅の断熱材に覆われていない部分で熱が逃げやすくなってしまうことを指します。この箇所は、断熱性が低いのはもちろん結露やカビの原因にもなります。
対策としては外張り断熱で構造体を断熱材の内側に包み込むことや、断熱材の隙間を埋める(気密性を高める)などが有効です。
2025年義務化!地域別UA値基準一覧表
地域区分と基準値
地域区分 | 主要都市 | 断熱等級4 (2025年義務化基準) | 断熱等級5 (ZEH基準) | 断熱等級6 (HEAT20-G2) | 断熱等級7 (HEAT20-G3) |
---|---|---|---|---|---|
1地域 | 旭川・帯広 | 0.46 | 0.40 | 0.28 | 0.20 |
2地域 | 札幌・青森 | 0.46 | 0.40 | 0.28 | 0.20 |
3地域 | 盛岡・秋田 | 0.56 | 0.50 | 0.28 | 0.20 |
4地域 | 仙台・新潟 | 0.75 | 0.60 | 0.34 | 0.23 |
5地域 | 宇都宮・長野 | 0.87 | 0.60 | 0.34 | 0.26 |
6地域 | 東京・大阪・福岡 | 0.87 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
7地域 | 宮崎・鹿児島 | 0.87 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
8地域 | 沖縄 | - | - | - | - |
福岡県の基準
福岡県は主に6地域に該当し、2025年義務化基準はUA値0.87以下です。
ただし、これは最低基準であり、実際の快適性や将来価値を考慮すると以下のようになります。
●推奨最低レベル:断熱等級5(UA値0.60以下)
●高性能レベル:断熱等級6(UA値0.46以下)
2025年時点での最低レベルではない断熱等級5を「推奨最低」レベルとしている理由は、国が2030年に断熱性の最低基準を、断熱等級5(ZEH基準)に引き上げる見込みだからです。
これから断熱等級5の家を建てると、数年後には最低基準の家になってしまうということです。
UA値を下げる(断熱性を高める)5つの方法
1. 断熱材の性能向上
熱伝導率の小さい断熱材を選択
2. 断熱材の厚さを増加
厚い断熱材ほどUA値が改善
3. 高性能窓への交換
窓の断熱性能が全体に与える影響は大
4. 熱橋(ヒートブリッジ)対策
構造材の熱橋を断熱材で覆う
5. 気密性能の向上
隙間風を防いでUA値の性能を発揮
高断熱住宅(UA値が小さい家)5つのメリット
1. 冷暖房費の大幅削減
年間の冷暖房費を大幅に削減できる
●断熱等級4(UA値0.87)の家:年間約15万円
●断熱等級6(UA値0.46)の家:年間約8万円
年間差額:約7万円の節約
月々に直すと約5,800円の節約になります。
2. 一年中快適な室内環境
外気温の影響を受けにくい安定した室温
●夏:外気35度でも室内28度を維持
●冬:外気0度でも室内20度を維持
部屋間の温度差も少ない
3. ヒートショック防止
家中の温度差が少なくなり健康リスクを軽減
暖房居室・非暖房居室の温度差:3~5度以内が望ましいと言われており、特に高齢者の入浴事故リスクを大幅に減少します。
年間17,000人が亡くなるヒートショックを予防
4. 結露・カビの防止
結露・カビが発生しにくい
●窓の結露:ほぼゼロ
●壁内結露を防止
●結露を防ぐことで、カビの発生を防ぐことにもつながります。
住宅の耐久性向上
5. 住宅の資産価値向上
BELS評価や住宅性能表示で高評価
●BELS:消費者によりわかりやすく、省エネ削減率をラベリングで表現した「住宅版BELS評価制度」がスタートしました。
●売却時の査定額アップ
●賃貸時の差別化
将来的な省エネ規制に対応
UA値とC値・Q値の違いを比較
比較表
項目 | UA値 | C値 | Q値 |
---|---|---|---|
正式名称 | 外皮平均熱貫流率 | 相当隙間面積 | 熱損失係数 |
測定内容 | 断熱性能 | 気密性能 | 旧断熱基準 |
単位 | W/(m²・K) | cm²/m² | W/(m²・K) |
計算方法 | 設計値 | 実測値 | 設計値 |
良い数値 | 小さい | 小さい | 小さい |
現在の使用 | 現行基準 | 任意基準 | 旧基準 |
それぞれの重要性
●UA値:法的基準、設計段階で決定
●C値:実際の施工品質、完成後測定
●Q値:2013年以前の基準、現在は参考値
重要なポイント:UA値とC値は両方とも重要で、どちらか一方だけでは真の高性能住宅とは言えません。
断熱等級とUA値の関係
断熱等級の変遷
2022年に断熱等級5〜7が新設され、2025年に断熱等級4が義務化されました。
各等級の特徴
断熱等級4(2025年義務化)
最低基準
省エネ住宅の入り口レベル
これより下は建築不可
断熱等級5(ZEH基準)
推奨最低レベル
ZEH基準
快適性と省エネの両立
断熱等級6(HEAT20-G2基準)
高性能レベル
暖房負荷55%削減
本格的な高断熱住宅
断熱等級7(HEAT20-G3基準)
最高性能レベル
暖房負荷75%削減
北欧レベルの超高断熱住宅
世界基準から見た日本のUA値
国際比較
日本の断熱基準は国際的に見ると低いレベルにあります。
国・地域 | 断熱基準(UA値相当) | 備考 |
---|---|---|
イギリス | 0.32以下 | |
ドイツ | 0.36以下 | |
イタリア | 0.62以下 | |
韓国 | 0.54以下 | |
日本(北海道) | 0.46以下 | 日本最高基準 |
日本(本州) | 0.87以下 | 2025年義務基準 |
日本の課題
福岡工務店のUA値実績
標準仕様でUA値0.46を実現
福岡工務店では、標準仕様でUA値0.46を達成しています。これは、北海道基準と同等の高断熱です。また、国の2030年目標「ZEH基準(UA値0.6以下)」を大幅にクリアしています。
→九州エリアでトップクラスの性能
HEAT20-G3認証工務店
福岡工務店はHEAT20-G3(UA値0.26)認証工務店として、国内最高水準の断熱性能を提供。暖房負荷を等級4住宅の約75%削減、年間光熱費10万円以上の削減効果を生みます。
実測C値0.08の気密性能
UA値の性能を最大限に活かすため、全棟気密測定を実施。
平均C値は0.08㎠/㎡、断熱性能を最大限に引き出します。
よくある質問(FAQ)
Q1. UA値が0.6と0.4では体感できるほど違いますか?
A1. はい、明確に違いを体感できます。
UA値0.4の住宅では
●冷暖房の立ち上がりが早い
●部屋間の温度差がより少ない
●年間光熱費で3~5万円の差が生まれます
Q2. UA値だけ良ければ高性能住宅と言えますか?
A2. いいえ。UA値は設計上の数値のため、気密性能(C値)も重要です。
隙間だらけの家では、どれだけUA値が良くても性能を発揮できません。C値は、現場でしか測ることのできない数値で、施工精度を測ることができます。
Q3. 既存住宅のUA値を改善することは可能ですか?
A3. 可能ですが、コストと効果を慎重に検討する必要があります
内断熱の追加:比較的安価だが効果は限定的
外断熱リフォーム:高額だが効果は大きい
窓の交換:コストパフォーマンス良好
住宅の高性能リノベーションや大規模リフォームをお考えの方は、福岡工務店リノベーション事業部へお気軽にお問い合わせください。
Q4. UA値0.87で十分快適ですか?
A5. 最低基準のUA値0.87では
●夏の2階は暑い可能性が高い
●冬の床が冷たい
●年間光熱費は高め
このように、十分快適とはいえない可能性が高いでしょう。
福岡で快適性を求めるなら、最低でもUA値0.6以下をおすすめします。
まとめ
UA値とは住宅の断熱性能を数値化した重要な指標で、2025年4月からUA値0.87以下が新築住宅の法的義務となりました。
しかし、真に快適で省エネな住まいを実現するにはさらに高断熱をオススメします。
推奨UA値基準
最低レベル:断熱等級4(UA値0.87以下)← 2025年義務基準
推奨最低レベル:断熱等級5(UA値0.60以下)← ZEH基準
高性能レベル:断熱等級6(UA値0.46以下)← HEAT20-G2グレード
最高性能:断熱等級7(UA値0.26以下)← HEAT20-G3グレード
UA値が影響する4つの要素
1.快適性:年中安定した室内環境
2.経済性:冷暖房費の大幅削減
3.健康性:ヒートショック・熱中症の予防
4.資産価値:将来の住宅評価向上
これから家を建てる方への提言
2025年以降の住宅市場では、断熱等級4は「最低基準」です。将来の快適性・経済性・資産価値を考慮するなら、断熱等級5以上(できればG2・G3レベル)の高断熱住宅を強く推奨します。
UA値は単なる数値ではなく、家族の30年間の暮らしを左右する重要な指標なのです。
福岡で高性能住宅をご検討の方は、福岡工務店へ資料請求してください。福岡で高断熱な家をコストパフォーマンス良く建てるポイントがわかるパンフレットをお送りします。
関連ページ
[住宅の気密性能を示すC値](リンク)
[HEAT20の快適性と省エネ性](リンク)
[福岡工務店の施工事例](リンク)