為田さんファミリー

為田さんファミリー

為田さん姉弟は福岡市博多区のご自宅が土地区画整理事業用地になったことを契機に、長年暮らしてきたご自宅を建て替えました。ご高齢の長姉に特に配慮したバリアフリーの平屋建てです。2013年秋に完成。冬を経験しての感想を中心にお聞きしました。インタビュアーは阿久津です。

区画整理によってどうしても建替えをしなくてはいけなくなったのですか?

お姉さま:そうでもなかったのですが、元々が中途半端な変形地で有効な土地活用が難しかったため、これを機会にと建て替えを決めました。 玄関などの向きを変え日当たりのいい家にしました。

弟さま:この地域に一斉に住宅が建っていく同じ時期に一緒に建てないと、騒音問題などで周囲にご迷惑をかけると思い急遽の決定です。だから担当の不動産会社から紹介された福岡工務店以外の建築会社を回る時間がなかったです。これがおたくに決めた理由(笑)

お姉さま:思い立ってから決定までの時間があまりなく、「どういう風な家を建てたいのか」を細かく考えることができませんでした。本当はインターネットなどで色々と調べ、間取りプランを見て検討して建てた方がよかったんでしょうが。

実際に生活をしてみてこれは困ったということはありますか?

お姉さま:トイレの音がすごく大きいんです。水道管と直結したタンクレスにしたでしょう。年をとるとトイレの回数が増えるので、しょっちゅう水を流す音を聞かなきゃいけない。しかも姉は夜中に何度も行きますから。弟さま:この家で僕が気になるのはそこだけです。タンクレスは通常のものより音が大きいとは聞いていました。廊下や玄関の近くなど離れた所にトイレをつくったなら気にならないでしょうが、うちは長姉のことを考えてリビングにつくったので夜は特に気になります。高気密のおかげで家自体が太鼓みたいになってるためすごく音が響くんです。

室内で音が響くというのが高気密な高性能住宅のデメリットの1つなんです。またトイレの扉を引き戸にしているため遮音性があまりよくなく、トイレ内の音がリビングに、ひいては居室にも聞こえやすくなってしまいました。

お姉さま:でもタンクレスの方が便利なのは確かです。タンク型は水が溜まるまで使えないから次に使う人が待たなくてはいけません。うちは子供や孫たちや親類がたくさん集まるのでそれでは困りますから。

冬は快適でしたか?

弟さま:こうして今もシャツ1枚で過ごせるし冬は風邪も引かなかったです。加湿器や床暖房など余計な器具がいらなかったのもよかったです。

お姉さま:おかげさまで暖かい冬を過ごさせていただきました。一番寒い時のリビングの温度はエアコンをつけなくても16度ありましたよ。以前の家はとても寒くてお客様が気の毒でした。

弟さま:阿久津さんもちょくちょく来てたからよく知ってるでしょう?寒かったでしょう(笑)

お姉さま:高性能住宅は部屋と部屋の温度差があまりないので、循環器系の疾患がある人にもいいでしょうね。昔の寒い家は温度差があって、血管がキューッとなって倒れると言うでしょう?家は健康面に配慮されてないと意味がないと思います。特に高齢者にはこの家のような性能が必要だと思います。

冬の光熱費にも変化はありましたか?

弟さま:前は給湯器には灯油、料理はプロパンガス、暖房は電気ストーブや電気毛布・電気あんかを使っていました。

お姉さま:給湯はお風呂と台所でのお湯だけでしたが灯油代が高かったですね。95リットル容量の灯油タンクに2回位給油していました。18リットル入りのポリ容器が1890円でしたからいくらになるでしょうか?その他にプロパンガスが約3500円、電気代が2万2000円位です。

ざっと計算して月額4万5000円位使っていたんですね。この冬はどうでしたか?

お姉さま:まだキチンと計算していませんが、オール電化にしたのでお風呂から台所からエアコンから全部入れて1万4000~1万5000円位だと思います。弟さま:以前は布団を2枚も3枚も重ね、鼻先が冷たくなってたから顔までスッポリと布団をかぶらないと眠れなかったけど、この冬は夏布団で十分でした。

お正月はご家族の皆さんが集まられたのですか?

お姉さま:このリビングに20数人がワーッと集まりました。和室までつなげたので全員が着席できましたよ。

弟さま:親戚はこのリビングの天井の高さや開放感がいいと言ってました。

この家はご年配の方に配慮しました。使いやすいですか?

弟さま:段差がないのがいいですね。年をとってくると少しの段差でもひっかかるけど、フラットだとそれがないですからね。

お姉さま:94歳の姉は新しくなったこの家で、歩行が改善され健康状態もよくなりました。床材に柔らかい杉無垢を使用したので、床が冷たくないからスリッパを履かず素足でいられるからです。若い人には分からないかもしれないけれど、素足なら足先と指に力を入れて歩くことになるので、指が開くし指に力が入るので健康にいいんです。94歳の姉は以前はスリッパを履いていたから歩行に不安がありましたが、この家で素足で歩くようになってから随分と歩行が改善されました。私は元々スリッパは履かず草履派なんです。草履は膝や腰にあまり響きませんから、当初この家で素足で歩いた時は足元が痛いと思いましたが、慣れてくると杉は柔らかいので膝への衝撃の少なさを実感します。素足ってこんなに健康にいいんだと分かりました。杉床との相乗効果ですね。杉無垢の床は高齢者にはお勧めだと思いますよ。

福岡工務店に改善してほしい点をお聞かせください。

お姉さま:設計への要望を色々と出した段階で「こういう建て方をしたらこういう部屋の取り方になりますよ」というバリエーションの異なるプランを3つか4つ出していただき、その中から選ばせていただく方法だったらよかったなあって思いました。また私達は素人ですから見た目もサイズ的なこともイメージが浮かびません。ですから言葉での説明だけじゃなく目で見て分かるような提案がほしかったですね。

弟さま:ユニットバスにしろ洗面台にしろ、実際に設備を置いたらどんな状態か?というのは素人にはイメージできません。設備の寸法を言われても、それを入れると横にどれ位の隙間ができるかは分かりません。だからうちの設計図に対して「これ位の隙間ができるから配置をどうするか」まで煮詰めた話しをしないままに進めました。例えば洗面所だけの図面を描き、「洗濯機はこの大きさ。幅650ミリの洗面化粧台を置いた場合と、750ミリを置いた場合の隙間はそれぞれこれ位」というものを明確に出してもらっていたら、配置についても考え方が変わったと思います。