断熱性能を比較するUA値とηA値
2013年4月に国土交通省が定める「住宅・建築物の省エネルギー基準」が改正され、外皮面積(外皮=外気に触れる壁や屋根など)も考慮した断熱性能を評価する指標が定まりました。新たな断熱性能は、「UA値(外皮平均熱貫流率)」と「ηA値(冷房期の平均日射熱取得率)」と言われます。これにより、より公平で正確な数値を算定することができるようになりました。
※読み方:UA値(ゆーえーち)、ηA値(いーたえーち)
それまで、断熱性能は「Q値(熱損失係数)」と「μ値(夏期日射取得係数)」等で評価していました。しかしこれらの数値は床面積で計算するため、床面積の割に外皮面積が増える小さな住宅や複雑な形の住宅は、基準をクリアできず住宅の大きさや形によって不公平が生じていました。いまだに「Q値」や「μ値」を使用している住宅メーカーもありますが、現在の主流は「UA値」と「ηA値」に置き換わっています。
国が定めた省エネルギー基準
2013年の省エネ基準で定める値は地域によって異なり、日本全国を8地域(1地域~8地域)に細分化され、それぞれの地域に基準が定まっています。まずは地域別にどんな基準が定められているかチェックしましょう。
※UA値は数値が低いほど断熱性能が高くなります。
※ηA値は数値が低いほど遮熱性能が高くなります。
省エネルギー標準地域区分
日本地図で見る地域区分別の基準
地域区分別の基準を詳細に表したデータ
暑い沖縄では冬の寒さをあまり考慮する必要がないためU値の基準はなく、逆に寒い北海道では夏の暑さをあまり考慮する必要がないためη値の基準はありません。
・UA値(ゆーえーち)
外皮平均熱貫流率の基準値のこと。「住宅の室内から外へ逃げる熱量」を壁や屋根等の外皮全体の面積で平均した値です。
・ηA値(いーたえーち)
冷房期の平均日射熱取得率の基準値のこと。「太陽からの日射量に対する室内に侵入する日射熱の割合」を壁や屋根等の外皮全体の面積で平均した値です。
地域区分 | 該当する主な都道府県 | |
---|---|---|
UA値 | ηA値 | |
1 | 北海道 | |
0.46以下 | ― | |
2 | ||
0.46以下 | ― | |
3 | 青森県、岩手県、秋田県 | |
0.56以下 | ― | |
4 | 宮城県、山形県、福島県、栃木県、新潟県、長野県 | |
0.75以下 | ― | |
5 | 茨木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県(東峰村のみ5地域)、佐賀県、熊本県、大分県 | |
0.87以下 | 3.0以下 | |
6 | ||
0.87以下 | 2.8以下 | |
7 | 高知県、福岡市全域、糟屋郡志免町、糟屋郡新宮町、糟屋郡粕屋町、遠賀郡芦屋町、長崎県、宮崎県、鹿児島県 | |
0.87以下 | 2.7以下 | |
8 | 沖縄県 | |
― | 3.2以下 |
2020年問題の今後について
2015年にフランスのパリで採択された「パリ協定」。このパリ協定をもとに、日本では温室効果ガス削減の一環として2020年から「改正省エネ基準義務化」がスタートする予定でした。
義務化する理由は、上記でご紹介したようにこれまで省エネルギー基準値自体はありましたが、あくまで強制力のない目標値だったからです。その為、日本政府としてもパリ協定で約束した温室効果ガス削減の一環として、2020年からは基準値を超えていない家は、建築そのものができなくなってしまうというものでした。表を見ると福岡は6地域(一部を除く)のため、省エネルギー住宅と認められるには「U値:0.87以下、η値:2.8以下」にしなければなりません。
しかし、下記の3つの理由で見送りが決定しました。
政府が発表した「改正省エネ基準義務化」見送りになった3つ理由
1, 現行の新築に、省エネ基準を満たす住宅が過半数しかないこと
2, 設計者や中小工務店が省エネ基準に熟達していない
3, 申請者・審査者ともに必要な体制が整わない
これまで福岡工務店では、2020年の「住宅の省エネ基準の義務化」の後も安心して住める高性能住宅を建築してきました。今回、義務化は見送りになってしまいましたが、いつ義務化されても、基準値を大幅に上回る高性能住宅を建築してまいります。
福岡工務店の遮熱と断熱性能
ここからはUA値とηA値に着目し、福岡工務店の家が省エネルギー基準における8段階中、どの基準値を満たしているかご紹介いたします。
断熱性能を表すUA値
※UA値は、数値が低いほど「断熱性能が高く」なります。
福岡工務店の家の平均値は「0.50」、東北の基準値は「0.56」。つまり福岡工務店の建てる家は東北よりも高い断熱性能を備えているということになります。
遮熱性を表すηA値
※ηA値に関しても、数値が低いほど「遮熱性能が高く」なります。
福岡工務店の家の平均値は「1.8」、鹿児島の基準値は「2.7」。つまり福岡工務店の建てる家は鹿児島よりも高い遮熱性能を備えているということになります。
まとめ
ここまでUA値とηA値についてご紹介しました。専門的な知識や、そもそも情報が公開されているか分かりづらいので、単体では比較材料にしづらいかもしれません。ですが、数年後に訪れるであろう義務化に向けて、今だからこそ「平均値を公開しているか」「基準値のことを視野にいれているか」で、安心して暮らせる家を建ててくれる会社か判断することはできます。